赤木 登代

本研究では,先稿に引き続き19世紀後半から20世紀初頭に展開したドイツ第一波女性運動の「市民層急進派」に着目し,第I報でその思想と活動を考察したアニータ・アウグスプルクと40年の長きにわたり公私にパートナーであった「リーダ・グスタファ・ハイマン」を取り上げる。ハイマンの生い立ちから女性運動に目覚めるまで,そして女性運動家として初めて参加したベルリン国際女性会議,ここでアニータ・アウグスプルクと出会い,その後「女性センター」設立に始まる本格的な女性解放運動を展開することになった。Lida G...

ドイツにおいても19世紀後半から20世紀初頭にかけて第一波の女性解放運動が展開した。その際中心となっていた市民女性による運動は,思想と活動のあり方から大きく「穏健派」と「急進派」の2つに分かれており,この二つの派の間にはしばしば軋轢が生じていた。本研究では,「急進派」に着目し,特にアニータ・アウグスプルクと公私にわたりそのパートナーであったリーダ・グスタファ・ハイマンの2人を取り上げる。本稿では,まず年長者であるアニータの生い立ちから自立,ライフスタイル,大学入学,そして女性運動家として最...

ヘレーネ・ランゲとその後継者ゲルトルート・ボイマーは,19世紀後半から20世紀初頭にかけて展開したドイツの第一波女性運動において,市民女性運動・穏健派に属しており,当時の女性運動の主流派としてもっとも重要な運動家に数えられる。本稿では,ふたりが女性運動機関に所属し,取り組んだ2つの大きな課題,「女子教育改革運動」と「婦人参政権」を取り上げる。前者は女性のアビトゥーア取得から大学進学への道を切り開き,後者は組織的な運動の拡大と政党参加により,第一次世界大戦を経て,婦人参政権の獲得という大きな...