栁岡 開地

本研究では,広い範囲の年齢で抑制能力を検討するためにアメリカで開発された喜び・悲しみ課題(Happy-Sad Task)が,日本人幼児において同じく抑制能力を検討する課題として適切であるかどうかを検討した。その結果,喜び・悲しみ課題の成績は,DCCS (Dimensional Change Card Sort)によって測定されたシフティングの能力とは有意な相関が見られた。また,本研究で得られた日本人幼児の喜び・悲しみ課題の成績は,アメリカで行われた先行研究における同年齢の参加児の成績よりも高いものであった。これらの結果は,日本人幼児は,アメリカ人幼児に比べて高い抑制能力をもつ,あるいは日本人幼児における表情と感情語の結びつきは,アメリカ人幼児に比べて弱いという可能性を示唆するものであると考えられる。